2023/04/06

【第30回社会システム部会研究会】経済社会課題のメカニズム解析と実証分析のための経済プラットフォーム構築

M1の中嶋です。
今回8/28-29にかけて、神奈川県三浦海岸で開催された第30回社会システム部会研究会に参加してきました。
参加者は教員8名、学生約60名となり、発表に限らず他研究室との交流も兼ねて様々な刺激をもらいました。

私は「経済社会課題のメカニズム解析と実証分析のための経済プラットフォーム構築」と題して発表しました。これだけを聞いても、おそらく何をやりたいのか伝わりづらいと思いますので、この研究で明らかにしていきたいことを、当日のレビューも交えてお伝えしていきたいと思います。

これまでの経済現象を対象にした研究ではミクロ、マクロそれぞれの視点でのモデルで分析が行われてきました。しかし、多様化が進む現代社会においては、組織や消費者個人の意思決定に基づいたミクロ・マクロ両視点での観察により、サービスや政策のデザインを行うことが必要とされています。

このようなミクロ・マクロ両視点での観察や分析のために、近年経済領域でも積極的に進められている手法がABM(Agent Base Model)です。ABMは、個々の意思決定主体の振る舞い(ミクロな視点)を定義することで、社会全体の振る舞い(マクロな視点)を再現しようとする分析手法で、多様化・複雑化が進む社会の分析に非常に有用であるとされています。
しかし、これまでのABMではコンピュータの性能不足、取り扱うデータの粒度の問題から現実的な表現や分析が困難であるという課題がありました。この問題に対し、私の研究では、関西大学の村田先生らにより作成された、合成人口データを用いることで対処しようと考えています。

経済現象を再現すると言っても、その対象は様々な粒度が考えられます。例えば、経済成長や景気などで言われる日本全体・地域全体を対象とした視点や、各市場における動向などが挙げられます。今夏の発表では、最小単位である企業・組織や消費世帯の振る舞いを定義することにより、各市場の振る舞いを再現することで最大単位である日本全体の振る舞いを再現しようと考えていました。しかし、全てを再現できるようなプラットフォームはその困難さから、なんでもできるというのは信憑性が薄れること、再現したい各システムに応じて必要なモデルが変わってしまうことを指摘され、何かしらの経済現象を対象としたモデルを作成していくことで、「この現象からこの現象までを再現できるプラットフォームの構築」という短期目標を設定していくことでより現実的かつ信憑性の高いモデルとなるのではないかという助言をいただきました。

今後はいただいた助言を参考に、様々な経済現象を探りながら、それを再現できるようなシステムを構築することを目的にトライ&エラーを繰り返していきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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