進路選択の悩みについて

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こんにちは!B4の小嶋です.

今年も10月に入り,だんだんと暑さが和らぎ暮らしやすくなっていることと思います.

この時期,特に大学生はどうすれば自分が納得のいく進路を選択できるか悩むことも多くなるかと思います.市川研究室では,ほとんどの学生が大学院への進学を選択しますが,もちろん選択肢はそれだけではありません.そこで今回は,大学生が進路決定しようとするときの悩みを明らかにし,それを解消するために何をすればよいのかを研究した本多(2009)1の研究を紹介したいと思います.

固定的な考えに囚われた自分に気づこう

本多は,大学生が進路決定しようとするときにどのような悩みを抱えているかを調べ,その悩みがどのような信念を背景として生じるのかを明らかにしようとしました.

大学生を対象としたアンケートの結果,進路選択の悩みは大きく「①自分の目標や関心が分からない」「②やり通す自信がない」「③将来の状況が不確か」「④実現できるかわからない」「⑤自己判断に自信が持てない」「⑥進路情報が不足している」の6種類に分類できることが分かりました.とくに,①②⑤⑥は進路未決定者に多く見られたようです.

また,進路を決めるための信念を同様にアンケートにより調査したところ,「A:進路決定は一度きりで変更してはいけない」「B:進路によって自分の社会的側面が」「C:進路決定は自分のやりたい気持ちを大切にするべきだ」の3種類の分類されました.

悩みと信念の関係を分析したところ,Cの信念は①~⑥のいずれの悩みにも影響を与えていない,すなわち自分のやりたい気持ちを大切にしている人は進路決定に対して悩みを持たない傾向にあることが分かりました.一方で,Aの信念は①②⑤⑥,Bの信念は③④⑤⑥に影響を与えていることが分かりました.

以上の結果から,本多は悩みを解消するための方法として,大学生とそれを援助する側の2側面から提案しています.まず大学生に必要なのは,固定的で受身的な進路決定の捉え方にとらわれている自分自身に気づくことであると述べています.また,大学生を支援する人に必要なのは,実際の人生の進み方が,「一度決めたら変更してはいけない」という固定的なものではなく,進路決定後も修正を繰り返しながら進んでいくものであるということを進路決定に臨む青年に伝えていくことだと述べています.

感想とまとめ

いかがでしたでしょうか.各種調査をみると,日本でも若年層を中心にいくつかの企業に移る働き方が広がっているように思われますが,まだ終身雇用が中心なようです.本多の研究から,悩みを抱えないという観点からいうと,前者の働き方の方が適してるといえるかと思います.みんなが悩みを抱えずに暮らせるようになるといいですね.

参考文献

  1. 本多陽子. 2009. “大学生が進路を決定しようとするときの悩みと進路決定に関する信念との関係.” 青年心理学研究 20: 87–100. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsyap/20/0/20_KJ00008133574/_article/-char/ja/