2022/03/06

中井先生 ご退職おめでとうございます!

2022年 第9週 (02/25~03/04) の週ブログ

こんにちは、もうすぐM1になる荒井です。2022年2月26日に行われた、芝浦工業大学システム理工学部電子情報システム学科の最終講義に参加しました。

今年度は、中井豊教授と相場亮教授のお二人が講師を務められました。私は初めて知ったのですが、大学教授が退官する時には、通常の講義とは異なり、その人の人生の半生を語る「最終講義」を行うということらしいです。また、ネットで調べると、この最終講義は欧米の大学では行われないらしく、代わりに大学に就任する際に「就任講義」として行うとの記述を見つけました。最終講義を本人の希望で行わない大学もあるようで、その文化はさまざまな様ですね。一般的には、OBや研究活動での先輩、同僚、後輩が内部外部から来て、退官を祝う催しと思って良いでしょう。

今回の最終講義は、新型コロナウイルスの状況からZoomでのオンライン視聴と大宮キャンパスの一室を使って対面での講義を合わせたハイブリットで行われました。

当日は、面識のないOBの方々が元中井研究室だった現市川研究室に集まってきてその雰囲気に少し緊張。元Googleなど、さまざまな経歴を持つ人がいらっしゃり、とても驚きです!

Gyazo
(引用: https://www.shibaura-it.ac.jp/event/nid00002044.html )

私自身、中井先生には、学部・大学院の講義(社会学概論、社会デザイン特論etc)、研究室合同で行われたデータサイエンスゼミや社会システム科学研究会など、様々な場面でお世話になりました。
ここで中井先生の経歴を簡単にここでご紹介します。

  • 2005年4月 – 現在 芝浦工業大学 システム理工学部電子情報システム学科 教授
  • 2002年4月 – 2005年3月 芝浦工業大学 システム工学部電子情報システム学科 助教授
  • 1992年1月 – 2002年3月 ㈱三菱総合研究所 情報通信政策部 研究部長・主任研究員1級
  • 1981年4月 – 1991年12月 宇宙開発事業団 副主任開発部員
  • 専門:数理社会学、計算社会科学
    (引用: https://researchmap.jp/read0116535 )

市川研究室では、社会シミュレーションと災害避難をテーマにした、避難行動シミュレーションの研究が行われていました。この研究は、2020年の熊本地震の際、行政が想定していなかった避難所への大量避難により、避難者の把握や物資支援が十分に行われなかった問題から、避難のメカニズムの解明と集約方法の検討を目的としています。中井先生には、先生ご自身が持つエージェントベースモデルリングへの知識、経験から、シミュレーション構築に貢献してくださいました。また、避難者の実際の意識や行動のアンケート調査では、アンケート項目の作成にも、多くのアドバイスをいただきました。このような多大なご協力の甲斐あって、二人の学生が卒業論文(学士、修士)を提出することができました。

(研究内容の一部抜粋)

個人的に一番お世話になったのが、中井先生との自然言語処理勉強会です。この勉強会では、自然言語処理分野で用いられている機械学習、深層学習モデルに対する深い理解を得ることを目的に行われました。中井先生がおっしゃっるには、社会科学の分野で活躍する研究者の中には、これらの手法を用いたりした研究は少ないとのことでした。先生ご自身も、これから本格的に深層学習モデルを研究に取り入れたいとの熱弁を語ってくださいました。学生からすると、先生と一緒に勉強するという状況が新鮮で、ワクワクしていました。

勉強会は、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformer)モデルがいかに言語の表現を学習しているかを主な目的として進行しました。分類、穴埋め、翻訳といった言語処理の様々なタスクに、BERTがどのように対応してるのかを理解するために、BERTの各層での言語情報の処理の仕方を分析しました。BERTの論文や解説記事を言語を問わず読み漁り、仮説を立てて議論して、学生と先生間で質問しあいながら、少しずつBERTの核心に迫るのはとても楽しい時間でした。

勉強会で調査した結果をまとめたScrapBoxのスクショ。勉強会は自分と当時中井研所属の中嶋が参加した。

深層学習モデルの精度や使い方など実用的な取り組みだけでなく、モデル内部に深く入り込もうとする取り組みも行うには、大変時間がかかります。しかし、自分たちがBERTで出力した結果は何を意味してるのか、本当に自分たちの意図した結果となるのか、を判断するのには必要な行為です。私は今回の勉強会で、深層学習領域でのブラックボックス問題が、いかに重要な問題なのかを体感することができました。

最終的には、BERTで何か「面白い」分析をするというレポート課題に取り組み、私は、「BERTを用いたフェイクニュースの検知と分類」という題材でレポートを提出しました。

レポートでのBERTを用いたフェイクニュースの分類結果を可視化したもの。

ここまで長々と語ってきましたが、本当に中井先生には、研究室の枠を超えて様々な場面で大変お世話になりました。
中井先生は、非常勤講師として、今後も芝浦工業大学、並びに市川研究室で活動するとのことで、引き続きお世話になるようです。この度は、ご退官おめでとうございます!そして、今後ともよろしくお願いします!

それではさようなら。

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