今週の市川研究室

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みなさん、こんにちは、今週のブログを担当するB4の田邉渉です。

今週は、市川研究室の大多数がGPBLでポルトガルへ行っています!
そのため、いつも活気あふれている研究室が非常に寂しく思います…

一方、ポルトガルでは… なんてきれいな建物でしょうか!円安でなかったら僕も行きたかった…

さて、私が担当した前回のブログ記事では、私が地域医療構想についての研究を行っている旨のご紹介をさせていただきました。
今回のブログの記事については、前回ご紹介した私の研究内容の続編になります。
私の研究では、地域医療構想が行われた後の世界がどのようになるのかをシミュレーションで表現するため、患者さんがどのように医療機関を選択をするのかを表す必要があります。
以下は、私の研究目標を達成するための方法論を表した図になります。

Gyazo

今週のブログ記事では、患者さんの医療機関選択(以降、医療機関選択モデルとします)を模したシミュレーションの結果のログを可視化したものをお届けします。
まず、設計した医療機関選択モデルが、どのように振る舞うかを説明するシナリオについてご紹介します。
医療機関選択モデルでは、シミュレーション上にいる人(以降、エージェントとします)が風邪を引いた場合、受診行動として、診療所か病院へ向かう行動をするようにしています。また、風邪を引いていないエージェントは、会社へ出勤し定時になった時点で帰宅するという簡易的なシナリオとなっています。

そのシミュレーション結果となるログを可視化したものが、以下の折れ線グラフと円グラフとなっています。

折れ線グラフでは、それぞれエージェントが家、会社、診療所、病院の4つのスポットに向かった回数を表しています。homeAgent(青色)が家に行った回数、companyAgent(赤)が会社に行った回数、clinicAgent(緑)が診療所に行った回数、hospitalAgent(紫)が病院に行った回数を表しています。
エージェントの行動の終わりには、必ず帰宅するようにしているため、homeAgent(青)が最も多くなっていることがわかります。また、医療機関選択モデルにおいて重要な、診療所(緑)と病院(紫)が選択された推移に注目すると、どちらも同じように遷移していることがわかります。
上記の結果については、シナリオの設計通りの、すなわち、狙い通りの結果を得ることができました。

Gyazo

また、下記の図では、それぞれのスポットにむかったエージェントがどれくらいの割合なのかを表しています。
ここでは、診療所(clinic)と病院(hospital)が行った割合が同じくらいという結果を得ました。これはシナリオの設計上、狙った結果であり、こちらも大きくはずれた結果ではなかったので良かったと思います。
Gyazo

そして最後に、地図空間上において、どのようにスポットへの移動をしているのかを表現してみました。
方法としては、出力されたログに適当な緯度経度を付与して、pydeckというpythonのライブラリを用いて、擬似的に地図空間上で移動しているように見せています。
立ち上げられた赤い棒が、診療所や病院を表現しており、オレンジ色の棒が会社を表現しています。そして、短い黄色い棒がエージェントそれぞれの家を表現しています。
エージェントの移動している変遷が時系列で推移していく姿が明瞭に伝わりますね。

Gyazo

(地図上に棒グラフがプロットされている地域とシミュレーションの結果に一切の関係はありません)

今回作成した医療機関選択モデルについては、実際の病院の立地等を考慮していないため、あまり現実を模したものではありません。
この医療機関選択モデルが、現実の医療機関選択と同じような振る舞いを行えるように、パラメータのチューニングや、精度の高いモデルの設計が求められます。
そこは今後の研究の課題とし、研究に励みたいと思います。

それでは以上で今週のブログ記事とさせていただきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

著者プロフィール

田邉渉

芝浦工業大学
システム理工学部
環境システム学科 学部4年生