2026/07/13

【ISAGA2026】Development of an Urban Planning Dilemma Learning Gaming System Integrating a Board Game and Digital Population Estimation

みなさん、こんにちは。博士課程の藤田進太郎です。
2026年6月22日から26日にかけてスウェーデンのKTH Royal Institute of Technologyで開催されたISAGA2026において研究発表を行いました。

ISAGAはシミュレーション&ゲーミングの国際学会であり、毎年ゲーミングの開発やゲーミングをどのように実施すると効果的かなどといった発表が行われています。
ゲーミングとゲームって何が違うの?よくやるスマホとかのゲーム?と思われた方は田口くんが執筆してくれたこちらの記事をぜひ読んでみてください!

発表の概要

今回は「Development of an Urban Planning Dilemma Learning Gaming System Integrating a Board Game and Digital Population Estimation」という題目で発表を行いました。
みなさんシティビルダーというボードゲームを知っているでしょうか?ボードゲーム好きの人なら知っている人がいるかもしれません。シティービルダーの概要はボドゲーマさんのHPに詳しく載っていますので、興味のある方はぜひみてください。
このゲームはまちづくりを題材としたゲームで、まちのさまざまな機能をもったタイルを組み合わせて配置していくことにより、まちを形成し、人口を増やしていくことを目指すボードゲームです。
ゲーム内では評判ポイントと収入ポイントが鍵を握ります。評判ポイントは人口の増加量につながり、収入ポイントはお金の増加量につながります。これらをバランスよく保つことが重要ですが、これがとても難しいのです!なんだか、実際の都市運営に似ていませんか??

そんなシティービルダーのポイント制度を生かして、今回は関係人口という概念を追加してみました。
関係人口は近年注目されている概念であり、まちとなんらかの関わりを持っている人やまちに好感を持ってくれる人を指します。人口減少が進む中で実際にそのまちに住んでいる人だけでなく、関係人口を増やしていくことがまちの持続可能性につながります。もちろん、他のまちより魅力がないと関係人口を増やすことは大変です。そのため、ゲーム内では関係人口となりうる人の数を一定にして、プレイヤー間で関係人口を取り合うような設計にしました。
今回のゲームでは評判ポイントと収入ポイントからまちの関係人口が算出されるように設定されています。
また、関係人口の算出にはExcelシートを用いています。ボードゲームはデジタルゲームと比較して、場面が一目でわかり理解がしやすいという利点がある一方で、本来の社会であれば複雑な要因から導き出される結果の算出が単純化されているという課題があります。そこで、今回は関係人口をデジタルツールを用いて算出しました。これにより、評判ポイントと収入ポイントを元にした多少複雑な関係人口の算出式を用いても、ゲーム内で人口計算が容易にできるようにしています。
さらに、今回は各プレイヤーに市長として、どんな都市にしたいかをゲーム開始前に考えてもらい、そのコンセプトに沿ったまちづくりをするようにしてもらいました。
これにより、関係人口や定住人口は増やさなくてはいけない、でもお金がないとやりたいことができない、さらにコンセプトにも沿ったまちにしなくてはいけないという、実際に都市計画に携わる人たちが抱えるジレンマを体感してもらえるようなボードゲームに改良しました。

実際にゲームを実施してもらった学生からは、まちの機能は拡充しているけど、他のまちと比べてポイントが低く関係人口の獲得に苦労している様子や、コンセプトを守らなくてはいけないけれどお金を獲得するために苦渋の決断を下す様子が見られました。



ゲーム後にみんなで気づきを話し合うデブリーフィングでも、経済的な成長と魅力を同時に高めることやコンセプトを実現することの難しさを感じたというコメントが多くありました。

私自身初めてのISAGAでの発表かつ初めてのゲーミングの研究でまだまだわからないこともたくさんありましたが、実際に自分たちで既存のゲームに意図を持って改良をし、私たちがプレイヤーに体験してほしいことを実際のプレイヤーが感じている様子を見た時に、日頃楽しく遊んでいる娯楽としてのボードゲームではなく、学習としてのボードゲームの価値を感じました。

ISAGAでの発表では、20分という今までに経験したことのない長い発表時間でしたが、多くの方に聴講いただき、拙い英語ながら無事発表を終えることができました。
質疑では結果のまとめ方や定性と定量の結果をどのように解釈するのかといった質問をいただきました。この質問については、今回の研究のみではなく、今後のゲーミングの研究において常に考え続けなければならない問いをいただいたと感じています。シミュレーションのように全てが定量で置き換えられる結果ではないことから、人々の発言や行動をどのように評価するのか、今後のゲーミング研究を実施していく上で、よく考えていきたいテーマとなりました。

ISAGAの魅力

私の発表以外にももちろん多くの研究発表もありましたが、ISAGAの特徴はワークショップが多いことです。今回は残念ながら参加できませんでしたが、実際にゲームを学会参加者で実施したり、ファシリテーションの仕方についてみんなで考えたりといった、他の学会ではあまりない体験ができる機会もたくさん用意されていました。
キーノートスピーチでは軍事に関するものが多く、日本ではあまり感じることのない戦争への近さを感じるとともに、第2次世界大戦において日本軍も現代のゲーミングのようなものを通じて幹部たちの鍛錬を行っていた歴史を思い出しました。
また、市庁舎でのウェルカムパーティーやKTH主催のディナーなどを通じて、スウェーデンの文化や食を感じる機会も多くありました。これは国際学会ならではの楽しみです。

ISAGA2027は日本開催!

そして、学会の最後のエンディングでは、来年の日本開催について参加者の皆さんにパンフレットを配布させていただきました。来年のISAGA2027は芝浦工業大学の豊洲キャンパスでの開催となります。私たち市川研究室もお手伝いさせていただく予定です。もちろん海外に行けることも国際学会の楽しみの一つではありますが、自分たちの大学で国際学会を経験できることはとても光栄なことです。多くの研究成果を発表できるよう、研究室一同頑張っていきたいと思います。

気づいたらとても長文のブログになっていたので、今回はここまでにしたいと思います。
また研究報告ができるように今後の研究活動も頑張っていきます。
ここまで読んでくださった皆さん、長文にお付き合いいただきありがとうございました。

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