2022/09/01

リスボン グローバルPBL2022 体験記 荒井

こんにちは、M1の荒井千里です。この度、7月におよそ2週間にわたって行われたリスボン gPBLに参加してきました。そこで私が体験したことをお伝えしようと思います。

グローバルPBLとは

 PBLにはProject Based Learning及びProblem Based Learningの二つが存在しますが、芝浦工業大学で行われるPBLは前者にあたります。この二つは、共通して実世界に存在する問題解決を目指すという点を持っていますが、Project Based Learningは、特に、問いや仮説を学生が主体となって発見することや、最終的なプロダクトを仕上げることが特徴となっています。グローバルPBLは、名前の通り国際交流という要素を融合した、海外大学生と一緒に取り組むプログラムとなっています。

リスボンてどこ?

 リスボンは、ポルトガル共和国の首都であり、テージョ川の河口に位置した、人口およそ300万人の大都市です。15世紀前後の大航海時代では、さまざまな航海旅団や冒険の出発地にもなり、古くからの貿易により商業や芸術で栄えた、世界的にも重要な都市でした。リスボンは7つの丘で構成され、たくさんの急な坂があるので、歩いて観光するにはとても苦労しました。中心部の街道は、石で出来たのタイルが敷かれており、ゴツゴツした道が続くので、車が通るたびにアスファルトとは違った音がなるのを覚えています。気温は、日本と変わらないほどですが、乾燥しているため、風が吹くと日中でもそれほど暑さを感じませんでした。日本の夏とこれほどまで過ごしやすさが違うのかと、空港を降りて一番最初に思いました。

日程

7月4日〜7月15日の11日間です

実際の活動の様子

 今回のPBLでは、ホストとなるノヴァ大学(Nova School of Science&Tecknology)の学生だけでなく、タイ王国のモンクット王工科大学(King Mongkut’s University of Technology Thonburi, 以下KMUTT)、同じくタイのスラナリー工科大学(Suranaree University of Technology, 以下SUT)の学生も参加することになりました。6〜7人程度のグループを作り活動しました。私たちのグループは、SUTの学生を交えた6人グループでした。まず、どのような問題について扱っていくかのアイデアを集めます。リスボンでの開催ということで、私たちの班は、ポルトガルに関する話題を、ブレインストーミングを用いて、洗い出します。その結果、ゴミ問題、特にタバコのポイ捨てが、リスボンでは目立つことが班員の中で多く挙げられたため、私たちの班はタバコのポイ捨て問題に取り組みました。リスボンには、タバコのポイ捨てを禁止したり規制したりする法律がないわけではありません。しかし、警察の取り締まりが積極的に行われず、住民もポイ捨てに対してモラルがないため、町中で路上喫煙やポイ捨てが日常茶飯事となっている現状がありました。

  その後は、リスボンのゴミに関するサービスやインフラ等といった現状分析や、タバコに関する話題のリサーチなど情報収集と並行しながら、目的展開やSWOT分析などシステム工学の手法を用いながら、Kando(感動) Qualityと住民ニーズを評価軸にした、解決策の方向性を決めるための評価マトリクスを作っていきます。KandoQualityとは、「人はどういう時に感動するのか」という問いから出発し、自分達が生活の中でどんな時やモノに対して感動したのか、その要因と考えられる要素を抽出して、人が感動するための必要となる性質を各班で定義したものです。現状分析や発想法を組み合わせてアイデア・アイデアの方向性を出し、想定されるユーザーや関係者のニーズとKandoQualityで、評価の高かったものを選んでアイデアを固めていきました。

初日の様子

OMG・観光

 プログラム7日目の日曜日は、レクリエーションとしてOMG(Oh My God)が行われました。リスボン市内のどこかにいる教員たちをTAからのヒントをもとに探すというもの。当日は、広でRedBull Lisbon Conquestというスケートボードの大会が開かれており、いつもより人で賑わいがありました。私たちのグループはサンジェスタのリフト(Elevador de Santa Justa)という観光名所に、教員の居場所を知るTAがいるという情報があったので、そこに向かいました。サンジェスタのリフトは、1902年頃に出来たゴシック様式の装飾がとても美しいエレベーターです。観光名所ということで、エレベーターに乗るのに長い行列ができていました。登った先にある展望台からリスボン市街地を見下ろした景色は、とても綺麗でした。リスボンを訪れたら、ぜひ行ってみることをお勧めします!

 そのほかリスボンにはさまざまな観光名所がありました。世界遺産のジェローニモス修道院やベレンの塔、道に色とりどりの傘が吊るされる傘祭りを思わせるレストランの通りなど、美しい街並みに、心奪われる1日でした。

発表・表彰式

 プログラム最終日には、各グループの発表が行われました。私たちの班は、タバコのポイ捨てを減らすために、タバコを吸う人が、「タバコを灰皿に捨てる」ことを楽しむことができる、ゲーム感覚を味わえる灰皿ボックスのアイデアを提案しました。ボックスを作るための、資材や部品をリストアップし、1ボックスあたりのコストを算出した結果、1ボックス40ユーロ (およそ6000円前後)で作れることがわかり、リスボン地区の広範囲で設置が可能であることを示しました。また、ボックスに中身のゴミの量を検知するセンサーと量によって色を変えるLEDを設置することで、ゴミ回収車の確認作業を削減することで、回収効率を高められることをアピールしました。

 そのようなコンセプトが評価され、私たちの班は、銀賞を受賞することができました。他の班でも、空き家解消や参加型のまちづくりサービスなど、とても興味深い分野での提案をしていました。発表会も終始英語で行われ、教授から飛んでくる英語の質問への回答に苦労しましたが、班員と協力しなんとか乗り切ることができました。

さいごに

 滞在中、ポルトガルでもコロナウイルスの蔓延が拡大するなど、油断のできない状況での開催となりましたが、無事最終日までプログラムに参加することができました。普段の学生生活では得られない貴重な経験をすることができたことに、とても嬉しく思います。一緒に参加した芝浦工大の学生、班員、他大学の学生、並びに準備してくださったTAや教授の方々に感謝します。ありがとうございました。

それではさようなら

参考
  • https://www.redbull.com/int-en/events/red-bull-lisbon-conquest
  • https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%9C%E3%83%B3
  • https://www.unl.pt/
  • https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/10/03/1395661_01.pdf
  • https://pt.wikipedia.org/wiki/NOVA_School_of_Science_and_Technology

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