塚本純也.交通視点における高齢者が生活しやすい都市評価.芝浦工業大学,2021,学士論文.
昨今,高齢ドライバーによる交通事故は頻繁にマスメディアに取り上げられるほど深刻な社会問題となっている.本稿では対策の一つとして高齢者の歩行促進を考えた.歩行促進の手段を考えるにあたり,高齢者が快適に日常生活を送るためにはどのような都市が良いのか,客観的指標を用いた都市交通評価の分析を行った.分析には高齢者が日常的に利用する施設の近接性を表すアクセシビリティ評価と,歩きやすさや歩行促進を表すウォーカビリティ評価の2つの指標を用いた.評価対象都市を埼玉県全ての市区町村とし分析を行った結果,埼玉県の南東に位置する市区町村は総合的に各評価値が高く,南東部を中心に離れるほど評価値は低くなる結果となった.レーダーチャート分析を行うと,蕨市が特に評価値が高いことが分かり,これは蕨市の特徴であるコンパクトシティが関係している可能性がある.つまり,本研究では高齢者が生活しやすい都市とはコンパクトシティであることが示唆された.